南フランス ヴェルドン大渓谷 ムスティエ

2021年2月12日 (金)

南仏・ムスティエ どうやって岩壁に鉄の鎖と金の星を架けたの?

フランスのグランドキャニオン、 ヴェルドン大渓谷の

西側の起点に「ムスティエ・サント・マリー」がある。

 

 

 

 

01.  ムスティエは 高さ数百メートルの石灰岩の

断崖を背にした  他に類を見ないような 驚くべき

舞台装置のただ中にある町だ。

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02. 観光客は まるで 立ち塞がる岩壁に

吸い寄せられるように 村の中へ入って行く。 

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03. どん詰まりで 屹立した2つの断崖が待ち受ける。  

 


よく見ると 2つの峰の 高さ60m付近に

長さ135mの 鉄の鎖が架けられて、 


なんと 真ん中に 金色の星が輝いている ! 

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04.   伝説によれば 10世紀 

地元ブラカス家の騎士が 十字軍遠征に従軍した折り 

サラセン人の捕虜となってしまう。

 


彼は 無事故郷に帰れた暁には 故郷の断崖に

星を捧げると神に誓いをたて、  解放後 彼は 

本当にそれを実践、 鉄の鎖と星を峰に掲げたのだ。

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05. 10世紀の 最初の星には 突起が16あったが 

現在の星には 大小合わせて10個の突起があり ⤴


星の大きさも 30cm 180cm と変化し、

現在は125cm、 鎖の重量は150kgだと言う。

 


写真は ノートルダム渓谷沿いの古い教会。 ↙

ロマネスク様式のアーチを持つ鐘楼塔が

すっくと立つ様が 印象的だ。

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06. 一方山腹の 「ノートルダム・ド・ボーヴォワール

礼拝堂」 までは 262段の石段を登らねばならない。

 

ロマネスクのポーチと ルネッサンス様式の木製ドア

の礼拝堂に 糸杉が寄り添い、 頭上には金の星、 


何とも言えず 劇的な構図だ。

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07. さて、清らかな湧水もムスティエの魅力だ。

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08. 伏流水が 石灰質の断崖から湧き出たたことで

5世紀来 修道士が凝灰岩の洞窟に住むようになり、

 


村にも湧水が流れ込んだことで、教会が建ち 産業が興り

やがて ムスティエは 立派な町になった。

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09. その産業の代表が 「 ムスティエ磁器 」。

アトリエがあちこちにあり、 見て回るのが楽しかった。

 


そもそもは 17世紀イタリアから来た修道士が、  

乳白色の磁器を作る技術を伝えたのが始まりだ。

 

そして 当初は地場産業だったムスティエ焼きだが、

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10.   ルイ14世によって 

戦争で疲弊した財政負担を軽減する為 

贅沢な金銀の食器の 使用禁止令が 出されると 

 

ムスティエ焼きは 一躍 王侯貴族にも 

もてはやされるテーブルウエアの主役になった。

 


その後 21世紀まで 盛衰はあったものの 

一品一品手作りされる 高級品の誉れが高い。

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11.  ところで 食器の白地に対し 図柄には

時代ごとに 大きな変遷があった。

 

初めは 王侯貴族の狩りなどをヒントにした図柄、 

イタリア趣味のグロテスク模様などが 主流だったが

 

近年では プロヴァンス独特の草花模様が描かれ、

私など より親しみを感じたが、  値段もあり

実際 買うまでには至らなかった ・・

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12. ムスティエは 当然ながら

 ”フランスの美しい村 ” に指定されており、 

穴場の観光地として 大変人気が高い。

 


こんな奥地へよく行ったものだ、と私も感慨深い。

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13. ところで、 千年も前 どうやって

60mの高さに 鎖を架けたのだろうか 、、

 

大昔のことは 実際 何も分かってないらしい。

 


ただ、これまでに10回以上の架け替えがあり、

一番最近が 1957年で、 鎖は64歳となる。

( 04.の写真参照 )

 

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但し 1995年に 一度鎖が切れて落下したので

現在のは 修理後26歳ということになる。

 


その折 星には新たに金箔が貼られ、  なんと

ヘリコプターを使って 鎖を架け直したと言う。


 

 


次に行かれる方がいらしたら、 望遠鏡を持って

 

星の突起が幾つあるか、 金箔の具合はどうか、

 

鎖に傷みが無いか 見て来ていただきたい !

 

 

 

*     *    *    *    *

 

2021年2月 5日 (金)

南仏・ヴェルドン大渓谷 フランスにもグランドキャニオンがある!

ナポレオン街道上の カンヌ グラース サンヴァリエを

訪ねたあと、  地方道に入り 西方へと向かった。  


やがて 目が眩むような

「 ヴェルドン大渓谷 Grand Canyon du Verdon 」 が現れた。

 

 

 


01.  勇敢な!? ワンちゃんの視線の先には ・・・

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02.  ヴェルドン川の深い渓谷に刻まれた 

’ ホースシューベンド 馬蹄形の彎曲 ’ があった。

 

 

ターコイスブルーの流れは  米国グランドキャニオン 

コロラド川の  ’赤’ とは対照的な色合いだ。

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03.  岩壁の道路際のバーレストランが賑わっている。

ドイツからの観光バスも来ていた。

 

見物人のいる 「 ラ・メスクラの展望台 」 ↘

 

その眼下では 支流のアルテュビー川が合流し、

そそり立つ崖壁が 一層 身近に迫り来る。

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04.  ラ・メスクラの展望台からは 先程のレストラン

は こんな風に見える。


犬が覗いていた崖は こんなに深い。

 

ワンちゃん 落ちなくて良かった !

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05. 「 アルテュビー橋 」 はアルテュビー川を跨ぐ 

長さ100mの ワンスパン構造のアーチ橋だ。 

 

 

今回は ” 至高の縣崖 ” と呼ばれる約20kmの

ヴェルドン大渓谷の南岸を車で走ったが、


北岸には 健脚向きのハイキングコースがあって

南岸とは趣きを異にする見晴らしポイントが点在している。

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06.  ここは 「カヴァリエ・クリフ」 と呼ばれる

300mの懸崖、ヴェルドン大渓谷のハイライトの一つだ。

 

大渓谷全体で見れば 

谷幅は狭い所で200m 広い所で1500mある。

谷の深さは250mから600mに及ぶ。

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07.  06.のクリフは この 「 ル・ファイエのトンネル 」 

から 身を乗り出して撮ったものだ。


180度 恐くて腰が引けるのに撮りたい絶景ばかり・・

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08. 大渓谷の白い石灰岩の山肌は 3500万年も

続いたジュラ紀の 堆積・浸食作用で出来たものだ。

 

アリゾナの雄大な 赤いグランドキャニオンと比べたら 

樹木の緑を纏った白い岩肌は 優雅そのものと感じた。

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09.  ヴェルドン大渓谷には 多くのオートバイ族が

来ていた。   唐突だが  若者文化の日本と違って 

フランスでは オートバイは ’ 中年文化 ’ だ。

 

フランスでは 大学か就職かに拘らず 18歳で世の中に

放り出されるから、自活を強いられる若い人はみんな貧しい。

オートバイどころではない。

  

多くの趣味・娯楽・文化が 中年仕様となっている!

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10. さて、 車で走った ” 至高の縣崖ルート ” を

振り返って見たら、  「 ル・ファイエトンネル 」 は

こんなに高いレベルにあった ・・

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11. さて そのルートの終わりに近づく頃


「 ヴォ―メール・ポイント (1204m) 」 から 

赤紫のアザミ越しに ただ一筋、  夢のように

ターコイズブルーのヴェルドン川が 輝くのが見えた。

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12.  有名なデュランス川の支流であるヴェルドン川、

V字の渓谷をうがったその岩壁に 人が住んだ形跡はなく、 


ヨーロッパに並ぶもののない このような大パノラマが

存在すること自体も あまり知られてないようだ。

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13.  ヴェルドン川は このサントクロワ湖に流れ込んで

その旅路を終える。

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何事もなかったかのように平穏な人里に辿り着き

 

私も ホッと一息ついた旅路でした ・・

 

 

 

 

 


*     *    *    *    *

 

 

 

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