死体の花 「燭台オオコンニャク」 キューガーデンズ
「 ショクダイオオコンニャク 学名Amorphophallus titanum 」 は、
サトイモ科 ・ コンニャク属の植物だが、
その名の通り ロウソクを立てた燭台のような形をしている。
01. 日本では1991年 文京区の小石川植物園で 初めての開花を
みたが、 今や日本の各地で見られるようになった。
これは 2005年 ロンドン・キューガーデンズでの開花の様子だ。
02. 5月のある朝 開花したショクダイオオコンニャク。
もともと インドネシア ・ スマトラ島の熱帯雨林に自生する植物で
7年に一度 2日間しか咲かない世界最大の花として有名だ。
03. ただ 桜のようにパッと咲いてパッと散るのではない。
強烈な腐臭を発して甲虫類を呼び寄せる役目を持つローソク状の 「 花序付属体 」
というのが真ん中にあり、 まわりのフレアスカートのような 「 仏炎砲 」 が
開いて閉じるのが2日間ということだ。
従って全体が枯れるには数週間かかる。
04. 全体で大きな花に見えるが 本当の花は 燭台の底部にある。
切り取った穴から 「 雌花 」 と その上の黄色い 「 雄花 」 が見える。
ここに落ちた甲虫が 花粉まみれとなって 受粉を担う訳だ。
05. ピンセットで雄花をつまむ。
06. 個体によっては フレアスカートが外側に大きく開くのもあるが、
このキューガーデンズの花は慎ましく? これで最大限の開花だ。
07. ところで 「 死体の花 」 とも呼ばれるこのオオコンニャクが
開花時に 強い腐臭を発するのは、 自生地のスマトラの熱帯林の奥深い所から
素早く虫たちをおびき寄せ、 制限時間内に首尾よく受粉させるのに
必要不可欠な仕組みなのだ。
08. 翌日には 花序付属体が こうべを垂れ、
09. すっかりしぼんでしまうまで 約2週間だ。
10. ところで ショクダイオオコンニャクは 種の発芽から
開花に至るまでの 全行程では10年から13年はかかるそうだ。
自然の自生地なら別だが、 人工栽培で花を咲かせるには
たとえ専門の植物園にあっても 相当な知識と経験が必要だ。
11. ここまで育てば あとは開花を待つばかり。
12. こちらは参考まで、 2006年のボン植物園の三つ子のオオコンニャク。
白黒写真の開花は1937年のもの。 右下は 開花時の湯気 !
13. 因みに ボン大学付属のボン植物園も 1759年開園の
キューガーデンズと同じく 古い歴史を持っている。
しかも この巨大コンニャクが ボン植物園のシンボルマークになっているほどで
その育成には造詣が深い。
2000年 史上3位となる花丈257cmのオオコンニャクの開花時には
温室に 3日間で約 1万5千人の見学者と報道陣が駆けつけたと言うことだ。
日本でも 神代植物公園や小石川植物園での開花の際は 長い行列が出来た。
動物園のパンダのように 植物園ではオオコンニャクが目玉となれば良いが
6~7年に1回では 効率が悪いかも知れないし、
「 死体の花 」 の匂いのこともある。
しかし あの巨大さは見事だ ・・
いろんな意味で 興味深い花ではある。
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