南仏・これぞプロヴァンス料理 禁じられた遊び ラヴェンダー畑
プロヴァンス地方はフランスの南東部に位置するが、
地中海の港町マルセイユを北上した高原地帯に
最もプロヴァンスらしい風景が広がっている。
今回私は カンヌからヴェルドン渓谷を通って
東側から この地域に辿り着いた。
01. 愛らしいコクリコは雑草の一種だ。 小麦の種に
混じって 小麦の休耕地を真っ赤に染めることがある。
印象派の絵画にも しばしば描かれるコクリコは
ある種 フランスの風景のアイドルだが、 一方で
どんな道端にも根を下ろすしぶとい植物でもある。
02. ラヴェンダーは6~8月に大地を紫に染める。
桜よりは花期が長いが ドンピシャ時期と場所を
当てるのは フランスに住んでいても難しい。
近年は人気が高く ラヴェンダーツアーが出る程だ。
手軽なネット情報があるにはあるが、
ッアーに任せると最適のコースを案内してくれるかも。
03. ところで、プロヴァンス地方を潤す大河・
デュランス川の支流・ヴェルドン川の話に戻るが、
ヴェルドン川の西端は現在 サントクロア湖という
ダム湖になっている。 ダムは1983年に作られた。
従って 40年前 多くの村々は湖底に沈み、
現在 湖畔にあるのは新しい町で
多くのアウトドアスポーツの拠点にもなっている。
04. 実は 湖底に沈んだエギュイン橋 (オレンジ色)⤵
その小さな古い橋は かの名作映画 「禁じられた遊び」
の重要な場面に その面影を残している。
第二次世界大戦中 ドイツ軍の爆撃を避けようと 家族で
橋に身を臥す中、 飛び出した仔犬を少女が追う。それを
追った両親と仔犬が 結局は爆弾にやられてしまう!
( 写真は 湖底に沈む前の橋 Pont d’Aiguines )
05. さて、プロヴァンスと聞くと 陽光いっぱいの
温暖な地域を想像するが、 どうしてどうして、
ロバの耳すら千切らんばかりの激しい北風 (ミストラル)
が年間百日以上吹き付ける 寒暖差の大きい地方だ。
06. こうして高台に寄り添って 南斜面に町が出来る
のも自然なこと。 ( この街は Valensole )
07. ラヴェンダー畑の一角に 直売所があった。
有名店より安く 可愛いかったので コロンや石鹸
匂い袋など 何だかいっぱい買い込んでしまった ・・
08. さていよいよ プロヴァンスらしい町々が点在
する地域に入った。 国道100号沿いに数キロ
美しいプラタナスの並木が続いたのは 感動的だった。
09. カスティヨン St. Martin de Castillon という
町の郊外で プロヴァンス風石造りのホテルを見付けた。
プロヴァンスにはパリなど都会から 多くの人々が
春や夏の休暇 そしてクリスマスにやって来る。
有名な5つ星ホテルにやって来るスノッブ (上品・
教養人・金持ち風に振る舞う俗人 ) は別として、
知的なしまり屋都会人は 穴場を知っていたり
人とかぶらない行きつけの貸別荘を決めたりしている。
10. カスティヨンもそんな穴場のひとつだろう。
このホテル Lou Caleu が当たりだったか分から
ないが、 マダムも主人も ひどく上品だった。
部屋は母屋から独立し 木立に囲まれた
テラス付きの別棟にあった。
並びのテラスで 一心に ペデュキュアをする
女性の足の 赤い爪が脳裏に焼き付いた・・
11. 母屋のレストランには 散策がてら
犬に挨拶しながら ウキウキと出かけた。
プロヴァンスは 多彩な料理とワインに恵まれた
美食の地方だが、 リヨンなどの高級美食とは異なり
豊かな自然を利用し尽くす 地元愛美食と言える。
12. 確かに 料理は想像以上のシェフの腕だった。
イギリスと比較しては申し訳ないが 英人作家が
” イギリス人はラムを2度殺す。 実際殺す時と
料理をする時と ” と言ったのを思い出す。
干しすもものスライス添えマーブルフォアグラ、
ハーブとサフランソース和えホタテ、
悪魔ソースかけグラナダ風ザクロのシロップ漬け牛肉
羊乳とマリネ漬け胡椒添えミルフィーユ
フルーツコンフィ添えカモのささみ
デザートには 2週間ブランデーに浸したあと
栗の乾燥した葉でくるみ保存した山羊チーズ etc
偶然泊ったホテルでも これだけの料理 ・・
確かにプロヴァンスは凄い ! ただし
プロヴァンスのシェフは 奇抜なものを狙うことなく
お金に見合った満足をお客に感じてもらえれば充分
なんだとか。 この料理も一人25ユーロでした ~
13. さて夕食後 お風呂に入ろうと脱いでしまって
石鹸 タオルなど一式が無いのに気付いた。 母屋に
電話しても誰も出ない。 主人は酔払って高いびき、
マダムに届けてもらうまで 相当苦労した ~
そんなところが スノッブ達が泊る豪華ホテルとは
根本的に違う点なのかも知れない。
これも 一つの思い出かな ・・・
翌朝 再び ラヴェンダーの香りに包まれて
次の町へと向かった。
* * * * *
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コメント
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bellaさん、こんばんは(^o^)/!
プロヴァンスの旅の続き、楽しみにしていました w(^o^)w!
コクリコってそちらでは普通に馴染みのある草花なのですか?
日本では、少なくとも私は(たぶん)見たことがないと思います。
休耕地を真っ赤に染めるコクリコ、雑草とはいえ綺麗でしょうね。
そしてラベンダー!大好きな花・ハーブです。可愛らしくて香りも素敵(*^o^*)!
かつて訪れたドイツのエルマーの両親宅にも見ごろとなったラベンダーが咲いていました。
南フランスでも、ほんのわずか40年前にダム湖に沈んだ村々があったのですね。こちらでも近年お隣の岐阜県の徳山ダムの建設で多くの集落がダム湖に沈みました。住民にとってはダム湖に沈んた故郷・・・、どれほど寂しいことか想像に難くありません(>_<)!
そしてプロヴァンスの意外な一面を知りました。温暖な地と思いきや、寒暖差の激しい土地なのですね。北風がそんなにすごいのですか?!
泊まられたホテル、さすが!bellaさんご夫婦!
穴場の小さなホテル、そして最高の料理・・・どの料理も見ているだけで「食べたぁい (・_・)イイナァ!」と思うばかり・・・!この料理で25ユーロというと・・・およそ3000円ほど・・ですよね。安いっ!
今夜も楽しいバーチャル旅行、ありがとうございました。
続きも楽しみにしています (^_^)ニコッ!
投稿: 慕辺未行 | 2021年2月20日 (土) 00時10分