「マイセン磁器」私の趣味ではなかったが、気高さに敬意を表します
旧東ドイツ ドレスデンの北東15kmに位置するマイセンの
「 国立マイセン磁器製作所 」 を訪ねた。
01. まずは 制作の実演エリアに入った。
磁器は陶器と違って ゆがみも個性のうちなどと言えないから
大部分は工場で厳密な規格を持って作られるはずだ。
ろくろによる手び練りでは きっと特別な作品が出来るだろう。
02. こちらでは 花びらや人形の手足など
小さく繊細なパーツを作っている。
03. 型押ししたり、 一片の粘土から指先で器用に
小花を生み出しては並べる作業を 見せてくれた。
04. 次は染付だ。「 ブルーオニオン 」と呼ばれる図柄。
中国模様のザクロを 玉ねぎと勘違いしたと言われる。
280年もの歴史がある伝統的デザインで、それぞれの模様が
豊穣 長寿 男性(陽)女性(陰)健康 高潔などの意味を持つ。
05. 花はマイセン磁器にとって重要な図柄だ。
全部で36種の花がリスト入りしており、 組み合わせによって
一つ花 二つ花 ・・・五つ花といったブーケが作られる。
写真では 一つ花スタイルのポピーが描かれる順番を見せている。
06. オレンジと緑の粉末小瓶が転がっている。 溶剤で
それを練りながら絵付けする。 右上は四つ花 左下は五つ花。
プラントハンターが活躍したのが主に18C, それより以前に
チューリップやバラ ポピー 朝顔 アネモネ パンジー 矢車草
スミレ 勿忘草 すいせん マーガレット スイートピー あやめ
など、 36種の古典的花々が 既に生活に根付いていたと思うと
花の歴史の深さにも敬意を払わずにいられない。
* * * * * *
07. 2階は博物館となっている。 マイセン白磁は
どっちみち王侯貴族のものだから、テーブルウエアばかりでなく
花瓶・時計・人形などの装飾品分野も 大いに発展した訳だ。
08. 中国 日本 インドなどからは図柄を導入し、
アラビアンナイト 妖精王オベロン シェクスピア劇などからは
魅力的な立体造形を作り上げた。
09. アールヌーボースタイル、 キリスト教聖人、
ワトーの貴族趣味の絵画からも インスピレーションを得ている。
* * * * * *
10. さて 最後は売店コーナーへ。
36種のいわゆる古典的マイセン図柄の花々は ぺインターが
勝手に描き変えることもなく、300年間定型で守り通されて来た。
例えばバラと言ったら これ、だ。 因みに、
マイセンと言えど 大量生産出来なければ世界に向けて輸出は
できない。 そこで相当早い段階から マイセンは転写シール
によるプリント絵付け アクアチンタ aquatinta を開発した。
11. しかしアクアチンタと言えど 相当なお値段だ。
一つ花のポピーが 税込749eur、 中段 二つ花が646eur
三つ花が749eur、 下段 金ぴかコーヒーセットが799eur。
12. 話は脱線するが ポーセリン・白磁の絵付けスタイル
には 大雑把に分類して ヨーロピアンとアメリカンがある。
ヨーロピアンが 古典的で静的な図柄なのに対して
アメリカンは 絵画的でダイナミックな図柄 の場合が多い。
技法・溶剤・筆も ヨーロピアンとは大きく異なる。
今回マイセンで ”自然主義 ” という 少しアメリカンに
近いデザインの陶板画が飾られていたので 私は驚いた。
13. 古典的バラとは明らかに違う
” 自然主義ローズ柄カップ&ソーサー(左上) ” も
売られていた。 輸入品を日本で買うと10万円以上になる。
私の手持ちのイギリス製大衆向けカップ (他の3点)
ぐらい安ければ 買わせていただきたいのですが・・!
正直言って マイセン磁器は
私の感覚にはピンと来ない部分もあったが
マイセンの歴史の長さ、 気高い気品だけは
しっかり感じ取らせていただきました ~
* * * * * * *
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コメント
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bellaさん、こんばんは(^o^)/!
マイセンの磁器製作所、興味深く拝見させていただきました。
それぞれの分野の職人の手による手作りの磁器・・・、もはや磁器というより芸術作品ですネ!
どの作業も「一瞬たりとも気の抜けない」手仕事でしょうし、繊細さを必要とされる仕事ですね。
装飾品は実物を見てみたいとさえ思いました。日本を含めアジアのデザインも取り入れているとは驚き!!です。
プリント絵付けのカップやソーサーでも、あのお値段ですか (゚o゚)ナニッ!1eur が120円弱ですから・・・どれも10万円近いお値段!!もし私が仮に買い求めたとしても、実際に使う勇気はないですぅ (。_。)ショボーン!
今夜も楽しいバーチャル旅行、ありがとうございました。
BGMは、NENAのCDでした (^_^)ニコッ!
投稿: 慕辺未行 | 2019年9月28日 (土) 22時55分