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2017年11月 3日 (金)

越中八尾の祭りは 小説「風の盆恋歌」 不倫・悲恋の舞台なり!

 
富山県南部八尾町 (やつお) に 「 月見のおわら 」 という祭りがある。

9月1~3日に催される 「 おわら風の盆 」 の姉妹版だ。



風の盆では 11の支部がそれぞれ自分の町内だけで踊り、 観光客側が

それらを見歩くのだが、  9月後半の 「 月見のおわら 」 では 

踊り手側が各町内を流し、 観光客はあまり動かずに済むという仕組みだ。 







01.     夕暮れ時、 家並みに沿ってぼんぼりに橙の灯がともる。


空には 鋭い三日月が輝く。   「 月見のおわら 」 という名に相応しい

幻想的で美しい舞台装置だ !

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02.     八尾の街並みは 井田川の河岸段丘に形成されている。  


八尾大橋の両側に 踊り手のレリーフが並ぶ。    西洋なら 

橋桁に聖人像が居並び、 向かいの丘に教会がそびえるという構図だ ・・

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03.     「 八尾曳山展示館 」 では 豪華な曳山山車をはじめ

祭りの歴代のポスターや日本画、 蚕の繭玉などの展示があった。

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04.     日本の道100選にも選ばれた諏訪町本通り、

人々は語らいつつ 祭りの開始を待ちわびる。



 「 風の盆 」 は 宣伝活動もあって 最近はかなりの人出があるが

本来 日本の祭りとしては かなり地味な部類だ。


阿波踊り 土佐よさこい 京都祇園祭 東北各地のねぷた 

岸和田だんじりなどの 熱気と派手さを期待してやって来るとしたら 

’ 失望の憂き目 ’ を見るに違いない。

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05.      ところで 小説 「 風の盆恋歌 ( 高橋治著 ) 」 は 

金沢 パリ 京都 特に ここ八尾を中心的な舞台として展開される 

家庭のある中年男女の不倫 ・ 悲恋を描いた物語だ。



主人公の男性は 海外経験の長い大手新聞社の外報部長で 妻は弁護士。

女性には心臓外科医の夫と大学生の娘がいる。     高校生以来 


たまたま パリで再会した二人は 改めて恋に落ち、 

以来 年に一度 八尾の風の盆の期間だけ 逢瀬を重ねることになる。

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06.     音曲が遥かに聞こえても 祭りの本隊はなかなかやって来ない。

見物人は まだかまだかと待ちわびる。   それはちょうど 主人公が 

祭りにやって来るはずの女性を待つ 焦燥感に似ているかも知れない。



さて、 揚々やって来た踊りの列は 歌や楽器があるにも拘らず

ある種葬列のような厳かな趣きがある。


阿波踊りのような足音もなく、 どこからともなく近づいた踊りの群れは

ゆっくりと どこへともなく去って行く。

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07.      踊り手の顔は 深く深く 編み笠の中に隠されている。
 

農作業の身振りを採り入れた踊りは 素朴な動作の繰り返しで

ある意味退屈であるが、 ある意味内省的である。



近づくのが遅い分 列は 私の目の前に長く留まってくれた。

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08.     小説の主人公は 逢瀬のために 八尾に家を一軒購入する。 


作家は 実際の古民家を設定して書いている。 

彼らが愛を交わした家は こんな家並の一角にあるのかも知れない ・・   



実際の祭りと小説の筋立てが溶けあって 私の心にロマンチックが渦巻いた ・・

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09.     三味線に混じり 胡弓がやって来た。 太ももに置いた楽器を

陶酔気味に奏でる男性の 弓なりの姿勢が目に焼き付いた。 
 


歌も三味線も太鼓もあるなかで、 胡弓の哀愁の音色は傑出していた。 

それはまた 小説の底流にある悲恋の象徴音のようにも聞こえた。

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10.      踊り手は 男も女も若かった。 小・中・高 そして青年団が

八尾の踊りと文化を守り継承している。     私はなんとかして 

笠の中の顔を見たかったが 実に巧みに隠されていた。



そう言えば 小説の 人目をはばかる不倫の女性も 踊りに参加していた。


編み笠の中には 時として 人生の秘密が潜んでいるかも知れない。

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11.       それぞれの支部の最後尾には ギャラリーが付いて歩く。 

興奮するでもなく ただ黙々付き従う姿が 奥ゆかしい。



ところで 主人公たちの秘めた恋路は ある日、 毎夏八尾に出かける母を

不審に思った娘によって暴かれることになる。

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12.      その後 京都での逢瀬を最後に、 しばらく音信不通のまま

それぞれ別の人生を送るのだが  やがて 男は原因不明の病に冒される。




そして ある年の風の盆祭りのさ中   八尾の隠れ家に突然現れた娘に、

  ” 母は死んだ ” と告げられる。

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        ( 夜9時半  観光客たちを 感謝で見送る踊り手たち   )







13.     数日後 恋人を失った悲しみの慟哭で 息も絶え絶えの男の耳に 

女性からの電話が鳴った。 彼女は生きていた !  娘は嘘をついたのだ。



しかし時既に遅く、 八尾の隠れ家に女性が着いた時 彼は冷たくなっていた。



彼女は 持ってきた喪服に着替えると  睡眠薬を大量に飲み

男の頬をさすりながら、 あなたの側に行くわね、今度はもう離さないでね、

とささやきながら 永遠の眠りについた 。。。

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てな事を 頭に浮かべつつ 

いろいろ想像しつつの 八尾の祭り見物でした。



確かに  地味でおとなしい祭りだったが 

その分 一層意味深なものを投げかけられた気分ではあった。





ところで 小説ではもう一つ 「 酔芙蓉 」 が 名脇役として登場する。


真っ白から淡いピンク、 濃いピンク そして茶褐色まで 

花色が 一日で変化する様は


まるで 女の一生を目の前に見せ付けるかのようだ ・・・





私は せめて茶褐色の一歩手前で 長く踏ん張りたいもの ・・・ ^&^








★゜・。。・゜゜・。。・゜☆゜・。。・゜゜・。。・゜★   

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コメント

bellaさん、こんばんは
越中八尾『おわら風の盆』、ずいぶん有名ですよね。
しかし、『月見のおわら』というお祭りがあるのは、初めて知りました。
お祭りと言えば、立派な山車を曳いたり絢爛豪華な行列、
明るく派手な、時には勇壮なお祭りが印象に残りますが、
このような静かなお祭りも、日本文化の一つと言えるのでは、と思います。
小説のあらすじも、短いながらもbellaさんらしく描写されていて、
読んでみたい気分にさせられましたヨ (^_^)ニコッ!

懐かしい越中八尾の「おわら風の盆」。二昔ほど前に多分5年ぐらい通って写真を撮っていました。
街並みも、「ゆるい」祭りの踊りも胡弓や三味の旋律も、すべてが身に沁みるようでした。
どうも、小説「風の盆恋歌」で、この祭りは超有名な祭りになったようですね。
当時、すでに、3日間は宿も撮れず交通不便で、観光客超満員。その10日前から、各町会担当で、その町会だけの「前夜祭」に、的を絞って通ったものです。
一時、観光大手業者さんが「月見のおわら」なんて催しを秋にやっていて、これもツアーバスで参加したことがありますが、これも満員。
もう、出かける機会もないとおもいますが、素晴らしい思い出を甦らせていただきました。

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