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2017年7月14日 (金)

「ロンドンデリー」 激しい武力闘争その後 EU離脱するのですか~



北アイルランド第2の都市 「 ロンドンデリー Londonderry 」 と言えば

1960年代から続いた北アイルランド紛争、 

特に市民間の激しいテロなどが思い出される。



問題の根源には カトリック系住民とプロテスタント系住民との間に 

複雑な勢力争いがあった訳で、     私は とりあえず 外国人として 

昔のニュースを思い出しつつ  ただ静かに街を眺めてまいりました。







01.     世界を揺るがせた激しい武力闘争は 1990年代に一応沈静化し、 

今日 双方が微妙な政治バランスを保ちつつ 何とか平和を維持している。



” Free Derry ” とは 紛争のないデリー ということだが 

ガスマスクを付けた少年の写真と隣り合わせというのが 印象的だ !

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02.     街の呼び名についても 「 デリー/ロンドンデリー名称論争 」 がある。


一般的に カトリック系のアイルランド人は 「 デリー 」 と、

17Cに イングランドやスコットランドから入植して来たプロテスタント系の人は

「 ロンドンデリー 」 と 呼ぶ傾向がある。



しかし6世紀来 この地はもともと ’ デリー ’ だった訳で 

街中では デリーが多く用いられているようだ。



議会などでは Londonderryの ロンドンにアクセントを置くか 

デリーの方にアクセントを置くか  論争があるらしく、    

民族問題は 本当に微妙だなあ、と感慨を覚える ・・

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03.    さて、 ロンドンデリー旧市街には  プロテスタントの入植者たちが

17世紀初めに建造した 全長1.6kmの円形城壁がある。


彼らは 7つの城門を全て閉じ 中に籠城することで  過去に3度

敵の包囲戦に耐えたそうだ。  

( 聖コラムズ大聖堂内博物館で 城門の鍵が展示されている )

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04.      城壁の保存状態は完璧で 城壁に登ると 街の内外が見渡せる。

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05.       そもそもアイルランドは 12世紀にイングランドによって植民地化され  

以後長く プロテスタントの英国が カトリック教徒の国を 支配して来た。


しかし1922年に 独立戦争の結果 アイルランド南部が独立することになったが、

北部6州は プロテスタント系住民が多数だったため 独立せずそのまま英国に残った。



ところが 今度は 北アイルランドで少数派となったカトリック系住民が 

職業や住居 政治上の差別を受けるなど 様々な不利益を被ることになり

不満が爆発、 

やがて 互いの民兵組織による大々的なテロや武力抗争へと発展した。

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06.     構図としては プロテスタント系住民を イギリス本国が支援、

少数派カトリック系住民を アイルランド国民解放軍などが支援、

激しいテロが繰り返えされ  合わせて3000人もの犠牲者が出た。




城壁から、 英国国旗がひるがえる 鉄条網で囲まれた軍隊の基地が見え

何となく緊張した !

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07.      一方 城壁の別な方向からは 平和な市民生活が見えた。


カトリック、プロテスタント住民は それぞれ街の異なる地区に暮らしており

観光客が行くような地域は そもそも安全な場所だということになるのだろう。

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                                    (  1ポンドショップ前  ) 






08.       市内に入ってみると  普通の住宅の壁に 

激しい抗争の記念碑的な光景の絵が描かれていて、       やはり 

普通の観光地とは異なる そこはかとない悲壮感が感じられた。



メガフォンを持っているのは 1969年の紛争時に指揮をとっていた 

この地区選出の国会議員バーナデッテ・デヴリンという女性 19歳。


もしかして このあたりは カトリック系住民が住む地区だろうか ・・

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09.      「 血の日曜日事件 Bloody Sunday 1972年 」


1月30日 デモ行進中の市民27名が イギリス陸軍落下傘連隊に銃撃され

14名死亡、13名負傷。 非武装だった市民が殺され うち5名が背後から撃たれ

7名が10代だったことから  英国政府に非難が集まり、   


検証を経て 後にキャメロン首相が イギリス政府として正式に謝罪を行った事件。

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                     (  慰霊碑には 死亡者の名前と年齢が刻まれている  )






10.       英国軍によって発砲・射殺された ジャッキー・ダディー 17歳を

白いハンカチを振りながら 牧師が先導している。      


Civil Rights と書かれたデモの横断幕を

イギリス軍兵士が踏みつけている ( 左側 )



英国軍の催涙ガスから逃げる市民 ( 右側 )

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11.      何故か キューバのチェ・ゲバラの顔が描かれ 

ゲバラの父親の言葉の一部が添えられていた。 ( 写真 下 )


どうも ゲバラの家系はアイルランド系らしく 革命に寄せるシンパシーを

人々が感じているかのようだ。



 ”  in my son's veins flowed the blood of the Irish rebels,

the Spanish conquistadores and the Argentinean patriots.


息子の体には  アイルランドの反乱を行なった人たち、 スペイン人の

南米征服者、 アルゼンチンの愛国者の血が流れていた ・・・・    ”

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まっとうな職業に就く権利、ちゃんとした投票権など 

基本的市民権を要求する壁画 ( 写真 上 )








12.      子供たちの平和な日常生活を垣間見ると これからも

安定した毎日が続くように思われる。



しかし 街の壁画を見て ふと気付いた。    

暗に非難しているのは イギリス本国であって、 

決して カトリック プロテスタント お互いを直接攻撃しあう絵ではない。 


相手を非難する絵を描き しかも落書きでもされた日には 

抗争が再燃しないとは言い切れない。 


悲劇を知り尽くした彼らは 今 賢明な平静さを保っているのかも知れない。
 
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13.     そこに 最近降って湧いたのが 英国のEU離脱問題だ!



北アイルランドとアイルランド共和国は 別の国家ではあるが 一つの島である。



国境の管理が厳しくなったら 人や物の出入りはどうなるのか、 

輸出入の関税はどうなるのだろうか、

北アイルランドは EUから相当な経済支援を受けているが 今後どうなるのか、

カトリック住民への 外部からの支援体制はどうなるか、、

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最近の北アイルランドの国民投票では 56%が EU残留を支持 

という結果だった。



国民の多くがEU残留を望む スコットランド自治政府のスタージョン首相 

そして、 ここ北アイルランド自治政府のフォスター首相

たまたま 二人とも 女性首相だが



英国のメイ首相と合わせて 3人の女性指導者が   今後  


EU離脱・残留問題に どう取り組んでいくのか 興味は尽きない !
   









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コメント

こんばんは(^o^)/!
(・_・ハテ?・・・デリー・・・と言えば私は真っ先にインドのデリー or ニューデリーを思い出すのですが・・・!
インドがイギリスによる植民地時代もありましたし、こちらのロンドンデリーと名前(地名)に関連があるのかな?
建物に壁画を残すことで、過去の歴史や過ち(?)を忘れないようにしているのかな?!
これらを見て憲法で「言論」や「表現」の自由が保障されているにもかかわらず、どこか抑圧されているような日本社会を感じました。

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