パドヴァ 宗教と芸術の町: こんにちは!ジョットさんマンテーニャさん
01. 今や黄色に変色した 2000年付けの日経新聞に
ジョットが描いた壁画の美術記事が出ていた。
このパドヴァのスクロヴェー二礼拝堂を訪ねたのがやっと その十年後。
02. 別棟の待合室でしばらく待った後、 行列を作って 順次礼拝堂に向かった。
作品保護のためだろう、 約20分で退室し 次のグループと交代した。
礼拝堂はこじんまりとした蔵のように見えたが 中に入ると
天井から壁一面 びっしりとジョットのフレスコ画で覆われ さながら別世界だった。
03. 礼拝堂の大きさは 奥行20.5 幅8.5m 高さ18.5m 。
ジョットが ヨアキムとアンナ( 聖母マリアの両親 )、 聖母とキリスト、
彼らの生涯にまつわる 39の場面を描いたのは 1305年から1310年にかけてだ。
徳島の大塚美術館で 礼拝堂内部の寸分たがわぬものが見られる )
04. 内部は写真はNGだし 壁画を詳しく見る時間的余裕もなかったが、
80ページの 写真付き日本語版の冊子をそこで買い 後に勉強することが出来た。
「 最後の晩餐 」 は ダヴィンチなどの後世のものより だいぶ素朴だが
実際はこういう雰囲気に近かったのではないだろうか。
代表作の 「 キリストの死への悲しみ (左)」 「 ユダの接吻 (右)」 など
美しく力強いジョットの壁画には 深い宗教性が満ちている。
05. 「 神 (上)」 「 受胎告知 (左)」 「 出エジプト (右)」
ところでジョットは アッシジで 「 小鳥に説教をする聖フランチェスコ 」 などの壁画で
成功を収めた後、 イタリア中から引く手あまたの花形画家となった。
フィレンツェやここパドヴァでは 単なる絵師ではなく 高利貸や金融業も営む
政治力と経済力を兼ね備えた 総合芸術プロデューサーとして活躍したそうだ。
その上 並外れた体力にも恵まれていたらしい。
これだけの名声と名画を残したジョットさん、 イメージとは異なるが
基本 骨太であって当り前かもしれない。
06. さてこちらは 「 エレミターニ教会 Chiesa degli Eremitani のフレスコ画 」
イタリアルネッサンス期の代表的画家 アンドレア・マンテーニャの作品だ。
1944年の爆撃で被害を受けたのち 欠損部を残したままで 修復された。
07. ジョットより僅か100年ちょっと後だが だいぶ趣きが違う。
マンテーニャ (1431年~1506年) は 遠近法を駆使し 揺るぎない
画面を構成、 人物表現も写実的で 宗教画に見られる堅さがない。
前から凄い画家だと思っていたマンテーニャさん、
思いがけない出会いでした ・・
08. 宗教の町パドヴァには サンタントーニオ聖堂 (1300年建造) もある。
聖アントニオの聖遺物を保管している大聖堂で、
今日でも世界中から巡礼者がやって来る。
09. ヴェネチアのサン・マルコ教会に似た ビザンチン風の八つのクーポラが
空にひしめいて、 威光が天から降り注ぐようだ !
10. 巡礼者やお参りに来る人々が 聖アントニオに捧げようと
白く美しいろうそくを買っていく。
11. パドヴァの聖アントニオは アッシジの聖フランチェスコの教えに共感し
フランシスコ会に入信、 そこで熱心に活動した人だ。 失せ物 結婚 縁結び
不妊症などに心を砕き、 愛 老人 動物の聖人となった。
見るからに優しそうな雰囲気の 彼の肖像画は、 幼子キリストを抱き
本とユリの花とともに描かれるのが基本となっている。
12. 町では ” 聖アントニオ饅頭 !? ” なども売っていた。
アントニオは説教の名人だった。 そのため 信仰を深めるための
メッセージ (記事) を掲載した ” Messaggero di S. Antonio ” なる
機関誌が 年に11回 ここ百年以上発行され続けていると言う !
説教を生業とする聖人・神父なら だれでも話は上手だろうが
とりわけ アントニオさんが群を抜いていたとすれば、 言葉の巧みさだけでなく
人々の心に届く 不思議な魅力を彼が持ち合わせていたのかも知れない。
13. パドヴァは 大学の町としても有名だ。
次回は さらに街歩きをして
素敵な場所、 こんな風にのんびりした人々、 も見つけてみたい ・・・
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