ローマの2500歳「ヴィーナスの誕生」・1900歳「パンテオン」
01. ローマの街角で出会う貴重な古代の遺跡は カッコよくて
まるで 現代生活のお洒落なアンティークアクセサリーのようにも見えてくる。
02. さて 誰もが教科書などで 一度は見たであろう 「 ルドヴィシの玉座 Trono Ludovisi 」。
それを目当てに アルテンプス宮に出かけました。 アフロディテが 二人の乙女に海から引き上げられる場面、
紀元前460年のギリシア彫刻は 2500年弱の時を経て 素朴な佇まいで待っていました。
枢機卿ルドヴィシが 16世紀に収集したことからその名が付いたが、 別名 「 ヴィーナスの誕生 」
とも呼ばれている。 本来、愛と美と性を司るアフロディテは どこか艶めかしいものだが
この女神は繊細でナイーヴ, ’ 生まれたばかり ’ という設定だから 当然のことかも ・・・
03. 実は この彫刻の左右の側面に 別な像があることを知って、 大変驚いた !
左側の裸の巫女は 高音低音2本に分かれたフルートを吹いている。 右側の乙女は服を着て香をたいている。
因みに 裸の方がより神に近い神聖な存在で 服を着てる方が俗世的な存在ということだろう。
ここ 「 アルテンプス宮 Palazzo Altemps 」 は 以前の 「 ローマ国立博物館 」 が老朽化したため
その半分を引き受けた博物館で、 その作品群の質は高く 貴重な古代彫刻ばかりが並んでいる。
日差しが美しい この宮殿の2階のバルコニーを 貴族たちが行き来した場面が想像される。
地下では 発掘された古代の土台部分を覗けるようになっている。
04. 「 自害するガリア人 Galata Suicida 前1世紀 」。
現在のトルコの一部 ペルガモン国との戦いに敗れたガリアの武将が 捕虜となることを恐れ、
妻を殺したあと 今まさに喉を突いて自害しようとしている。
カピトリーニ美術館の 「 瀕死のガリア人 」 と同じく、敗者の像は奥深い趣きを持っている ・・・
ところで この像の背後には 多分後代のものだろうが、つっかえ棒が掛けられている。
時代こそ全然違うが、 360度どこから見ても完璧に均整の取れたベルニーニの彫刻作品と比べて
こちらの方には 人間的な親しみを覚えるのは面白いことだ。
( レリーフは ローマ人と蛮族ガリアとの戦いを描いた 「 ルドヴィシの石棺 Grande Ludovisi 」 )
05. さて次は 「 パンテオン Pantheon 」。 1900年も前に建てられたこの建物、
その古さ 美しさ 大きさ 建築技術の高さ、 どれを取ってもローマで一番と言われている。
パンテオンとは ’ 全ての神々の ’ という意味だが、 正面ファサードには 神々をさて置いて!?
’ ルキウスの息子 マルクス・アグリッパが 三度目のコンスルのとき建造した ’
とデカデカと 記されている。
06. 中の丸い本殿部は 直径・高さ共に43.3mという巨大なクーポラで覆われている。
基礎部の壁の厚みは6.2mもあるが、 賢いことに、 上に行くにつれて 壁は薄くなり
使う石も徐々に軽いものが用いられているそうだ。
直径が9mの天井の穴は 「 目 Occhio・オッキォ 」 と呼ばれる。 そこから差し込む日の光は
刻々角度を変え 確かに天上の神々の視線であるかのように美しかった ・・
因みに 国王や聖職者に並んで 37歳で亡くなったあのラファエロの墓 Tomba di Raffaello もここにある。
同じく35歳で早世したモーツアルトの遺体が リヤカーで運ばれ 共同墓地の大穴に投げ込まれたのとは
大違いだなあ、と ふと思ったりしました ・・
( 左上のラファエロの墓は 向かって一番左側の祭壇にある )
07. このコリントス様式の柱は太さ4.5m、 計16本が並んでいる。
08. パンテオン前の 「 ロトンダ広場 Piazza Rotonda 」 は 大勢の観光客でごった返している。
ローマにまつわる諺に ” ローマを旅し、 パンテオンを訪れぬ者は ロバのような愚者で現れ
ロバのような愚者として去る。 Chi va a Roma e nun vede la, Ritonna asino va e asino ritorna. ” というのがある。
幸いなことに 私はパンテオンを訪れたけれど、 少しも賢くならなかった気がする ・・
でも クーポラの天井の目玉から降り注ぐ光を浴びた分だけ ご利益があったかも知れない !
09. 市内のあちこちで出会う寺院や彫刻、 芸術活動、 どれもこれも魅力的でした ~
10. 「 サンタンジェロ城 Castel Sant' Angelo 」 と 「 サンタンジェロ橋 Ponte Sant' Angelo 」
城は2世紀にハドリアヌス帝が 霊廟として造らせたものだったが、 徐々に要塞として使われるようになり
その後牢獄になったり 法王の豪華な邸宅になったり 思う存分歴史の荒波を越えてきた建物だ。
テヴェレ川に架かるサンタンジェロ橋の両側は 何体かの天使像に飾られて 本当に豪華、
文字通り サント・アンジェロ, 聖・天使橋だ !
11. パリにはセーヌ、 ロンドンにはテムズ、 ローマにはテヴェレ川 Tevere がある。
やっぱり大都市には川岸の風景が欠かせない。
ところで サンタンジェロ城と 城の左手にあるヴァチカンは 城壁でつながっていて
その一番高い所にある通路を使い 法王はいつでも城内に避難できる体制だった。 物語満載の風景です。
12. ローマ見物は 見どころも多いし、 坂道も多い。 本当に疲れます。
写真の彼らは純粋な観光客ではないようだが、 木陰とベンチがあったら 私もきっとウトウトしてしまうかも!
13. ” ローマは一日にして成らず ” と言うけれど まことにその通り。
そして 大抵の名所旧跡は観光客でごった返しているが
歴史を物語るこんな静かな小路も無いこともない。
” 郷に入っては郷に従え ”
たまには ローマ人がやるようにのんびりやってみるのもいいかも知れません。
★゜・。。・゜゜・。。・゜☆゜・。。・゜゜・。。・゜★
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