芸術の都 シエーナが生んだ色の名は ”バーントシエーナ”
イタリア・トスカーナ州、三つの丘の上に作られた 褐色の古都シエーナ
そこでは 長い歴史の中から生れた質の高い芸術が 圧倒的な魅力を放っておりました !
01. シエーナ大聖堂に付属する 「 ピッコローミニ図書館 Libreria Piccolomini 1502年~ 」
画家ピントゥリッキオが 教皇ピッコローミニの生涯のエピソードを描いたフレスコ画が 部屋一面を席巻している。
よく見るやわらかなフレスコ画と違い くっきりした緻密なデッサンと色彩の鮮やかさが際立っている。
02. 壁から天井までびっしりと絵や模様が覆い尽し、一切 無地は存在しない。
彼らにとって ’ 無地 ’ を埋め尽くさない限り 仕事が終わったことにはならないのかも知れない。
’ 余白 ’ を重んじる日本の芸術の対極にあると言えそうですが、 ここまで徹底すればそれも見事です。
03. さて、これが褐色の古都の風景。 この色が絵の具の名前の由来になっている。
つまり 「 シエーナ 茶色 」 または 「 バーントシエーナ 焦げ茶 」 などがその名です。
04. こちらは 市役所 「 パラッツオ・ピュッブリコ Palazzo Pubblico 13C ~ 」
白とシエナカラーがマッチした 「 マンジャの塔 Torre del Mangia 88m 」 は すらりと美しい。
現在市役所は美術館や劇場になっているが 婚姻届けなどの窓口業務はやっているようだ。
翌月出産というカップル、 男性のスカーフと胸ポケットのラヴェンダー 女性とのコーディネートは完璧です!
「 双子に乳を与える牝狼 」 のブロンズ像は、 ’ 訳あって森に捨てられた双子が 狼に育てられ
兄のロムルスがローマを作り 弟のレムスがシエーナを作った ’ という逸話が元になっている。
05. 市役所内の 「 平和の間 Sale dela Pace 1335年 ~ 」
よき政府と悪しき政府の効果というテーマが描かれているが、 ここでも ありとあらゆる空間が
絵と模様で埋め尽くされている。 色合いがシックだったこともあり 思わず感動してしまった !
06. 「 礼拝堂 Cappella (上)」
「 マッパモンド 世界地図の間 Sala del Mappamondo にある ’ 玉座の聖母 ’ (下) 」
07. さてここは 「 カンポ広場 Piazza del Campo 」
上の市役所を中心地として 全体が ゆるやかなすり鉢状の 貝殻の形をした広場だ。
08. ここでは 年に2回 「 パリオ デッレ コントラーデ Palio delle Contrade 」 という
裸馬レースが行われる。 出場チームは 各地区( コントラーデ ) の名誉をかけ
聖母マリアの肖像が付いた旗( パリオ )と賞金を目指して闘うのです。 私もテレビ番組では見ていたが
実際の広場は砂が敷かれてデコボコが少し均されるものの、 全力疾走の馬レース用にしては円周が小さく
アップダウンもかなり激しい馬場になるなあ、 と 驚いたものでした ・・
( 写真は インフォーメーションサイトから )
09. ちょうど 市役所前にあたる貝殻状の中心地から 白い線が8本 放射状に伸び、 広場を
九分割している。 これは シエーナの政府を組織した 小市民階級出身の9人のメンバーを象徴しているそうだ。
その中心には アッシジの聖フランチェスコの一番弟子 ” 聖ベルナルディーノ が 1427年ここで説教した ”
というプレートが埋められている。 アッシジでフランチェスコの足跡を辿ってみた後だけに
ああ あの人の弟子か~ っと 知り合いでもないのに ちょっぴり感慨深かった ・・
10. もう一度 広場を囲む建物を見てみよう。
成る程 焦げたシエーナ色、 バーントシエーナ ( Burnt Sienna英 Terra de Siena Tostada伊 )だ!
11. カンポ広場に降りるのも カンポ広場から登るのも、 結構きつい坂道となっている。
シエーナという町を面白くしてるのは、 こんな変わった地形も 理由の一つかも知れない。
( 下左は フォンテ ガイヤ Fonte Gaia (歓びの泉) )
12. ところで今回は 大聖堂の丘の下にある 「 バティステロ聖堂 Il Battistero 」 の
真向いにある宿に泊まった。 部屋に案内され 窓を開けると美しい聖堂のファサードが目に飛び込んできた。
しかし 実際 オールドタウンの真っ只中に 車で入って来るのは至難の業だった。
帰りは 幾つかの城門を抜け旧市街を出るまで 宿の主人が ’ 代行運転 ’ をしてくれた。
13. この宿は家族経営で 他にも長期滞在用のアパルトメントを持っている。
世話好きなマダムは いろいろ説明したくて仕方ない。 私にのしかかる様に話しかけて来るので
思わず一歩後ずさると その分一歩前に攻めてくる ! イタリア人らしいイタリア人だった。
ところで 昔この家には 向かいのバティステロ聖堂の司祭が住んでおり 地下道で行き来していたという。
その名残りの地下道は今や彼らの物だ。 そして来年 地下道をワインセラーに改修する予定だと言う。
あなたのイタリア語と私の英語は どっこいどっこい(の下手くそ)ね ! と笑って 気に入ってくれたマダム
そのワインセラーのオープンパーティーに 絶対呼ぶから来年来てちょうだい、と誘われた。
( マダム、行けるものなら行きたいですよ、 毎年でも イタリアに ! )
優しい、やさしい気質の一人息子は 翌日が弁護士試験の発表で もし合格したら 髭を剃る予定なんだとか・・
フェイスブックで髭のない写真が載っていたから きっと合格だったんですね。
ワインセラーオープンの話は伝わって来ないけれど、 シエーナは最高でした。 忘れませんよ、マダム !
そして 大好きな色バーントシエーナ、 これからもチューブをひねる度に思い出します シエーナを !
★゜・。。・゜゜・。。・゜☆゜・。。・゜゜・。。・゜★
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