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2014年8月22日 (金)

「郵便配達夫の理想宮」 "好奇心で中に入ったが 出た時は恋に落ちていた"

フランス南部 リヨンの南方60km  「 オートリヴ Hauterives 」 という小さな村に

シュヴァルと言う名の 一人の郵便配達夫が作った 奇妙な建築物がある




その名は 「 シュヴァルの理想宮 Palais ideal du facteur Cheal 」                 





01.    美しい川を越え、 幾重もの農地の襞を越え、その村を探し当てた ・・  

車のナビ無しでは 到底無理だったかも知れない

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02.    11月の午後3時、もう日が傾きかけていた。 日頃 巨大な大聖堂や城塞を見慣れて来た目には


こじんまりした宮殿に見えたが、    待てよ、一人の人間が 石ころ一つづつ 手作業で作ったのだ !

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                                            (  北側  )





03.    1873年、43歳になった郵便配達夫 フェルディナン・シュヴァルは 仕事の道すがら、

ソロバン玉が繋がったような 奇妙な形の石につまずいた。不思議な形に魅了された彼は 一個また一個と 石を


集め出す。 仕事のついでに集めていたものが、 徐々に 石拾い専門に10キロも遠出するようになった 

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                                            (  東側  )





04.    庭先に その石を積み上げていったものが 彼の宮殿の始まりだった。 毎日あちこち

下を向いて徘徊し、 庭では奇妙な建築物を積み上げる ・・ 。 村人がヘンに思わないはずがない。

人々が彼を変人扱いし 白い目を向けたのも当然だった。 




ある研究者は 彼は 物事に偏執的に拘る ナントカと言う精神病だ、と分析しているが、   確かに

病的なほどの根気と意欲がなければ こんな立派なものを作り上げるなど 到底出来なかったかも知れない

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05.    宮殿の四方には イーストサイドとか ウエストサイドと 名前が入っているが

文字通り世界の四方からの モスクやカテドラル、教会や城が 彼の宮殿に採り入れられた。 
 




身の回りの動植物は 当然大切な素材だが    特に、 田舎の貧しい郵便配達夫にとって 

仕事の一端で目にする絵葉書は 格好のイマジネーションの素になったらしい 

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                                            (  東側  )





06.    ミニチュアの建物には ヒンズー寺院、スイスの礼拝堂、ホワイトハウス、アルジェリアの四角い家、

などと刻印されている。  ( 日本的なものはなかったような気もしますが ・・)

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                                              (  西側  )





07.     この建築物は 勿論石ころだけで出来ている訳ではなく、 石と石をつなぐのにワイヤー、

壁や土台を固めるのにセメントなどが使われている




彼の理想宮は 1912年 シュヴァルが77歳の時、 のべ9,3000時間 33年間かけて 完成された

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08.    妖精のような坊やに導かれて 建物の内部の通路を歩いたり、階段で2階に上がったりした ・・



地元民は 最後まで彼に距離を置き、 この宮殿の中に墓所を設け 永遠の眠りに付きたいという彼の願いを

拒否した。  そこで 彼は 村の墓地の方に この宮殿と似たような雰囲気の墓を作っている

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09.    しかし、 建物が完成すると このセンセーショナルな宮殿はマスコミにも取り上げられ

徐々に見物客が来るようになる。    彼の死後は 孫娘が保護管理をしていたが、 1994年に


やっと村の管理に移り、 現在は フランス政府により国の重要建造物に指定され、 修復も行われている。




2013年には 世界中から 観光客が15万人も訪れたと言うから 

もう押しも押されぬ 立派な文化財になったと言えるのではないでしょうか ・・

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                                   (  2階のテラス )





10.     彼は 最初の妻には愛想を尽かされ離婚、 しかし再婚した妻は彼を理解し、終生彼を支えたという



彼の一輪手押し車が残されている。 足場の様子を見ても ” まさしくアナログな建築法 ” そのものですね!

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11.    ところで 私は、 彼は イマジネーション豊かな造形作家であるばかりでなく

ある意味人生哲学をモノにした プリミティヴな思想家だったような気もする ・・・



建物のあらゆる場所に 彼は びっしりいろいろな言葉を書き残している。  例えば 



” 自然は友であり、時として理解し難い敵でもある。 しかし、私は不平も言わず 自然に付いてゆく ”


” 人生は 生まれ来る子供たちと 消えゆく老人たちの 葛藤の嵐が吹き荒れる海のようなものだ  ”


” 肝に銘じよ、望むこと それが 出来る、の始まり ”  ”  神は 自ら助くる者を助く  ”

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                                          (  2階のテラス  )





12.     実は 私は最近、バルセロナの 「 サグラダファミリア 」を訪れた。 



その時真っ先にひらめいたのが この 「 シュヴァルの理想宮 」。  サグラダファミリアの外観の 

とても教会とは思えない奇抜な造形は 昔のままだったが、  新たに 最近完成した聖堂の内側は 

すっかり現代アート風にまとめられ、 ” ガウディはどこに行った!? ” という感じがしました ・・ 

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                                            (  完成当時  )




ガウディが シュヴァルと違う点は、 規模が全く違うのは当然として、 あふれ出るイマジネーションを 

一旦 科学的数式や建築理論に置き換えて、 実際の建築でも 他人の手と機械の手にゆだねざるを得ない、

という点だろう




ガウディは 許されるなら シュヴァルのように 本当は全てを自分だけで作りたかったのではないだろうか

実際そんなことは有り得ないことではあるけれど ・・  




                                                              




ここまで 淡々と報告させていただいたが  実は 「 シュヴァルの理想宮 」に 私はものすごく感動した ! 



歓びが胸一杯に満ち、 多くのインスピレーションを授かって帰って来た 。  






同じく あそこを訪れた ある人の感想を引用させてもらおう

” 私は 好奇心で中に入ったが 出た時は恋に落ちていた !  On entre curieux, on sort amoureux ”

 

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コメント

こんばんは
車のナビなしでは到底行き着けなかったであろう村に、このような素晴らしい建築物があるとは ヾ(.;.;゚Д゚)ノ
しかも、それを作ったのが一介(?)の郵便配達夫ということにも驚きです w(゚o゚)w
これだけのものをたった一人で33年もの年月をかけて作ったこと、その間まわりの人々から変人扱いされ、妻にも愛想を尽かされ・・・それでも作りあげた意思、スゴイ!
私も感動しました。
生前は決して評価されなくても今は・・・。
あの世できっと喜んでいるでしょうね。

このようなところがあること、なかなか知ることができないのに、さすがbellaさんです。
ご紹介、ありがとうございました m(u_u)m カンシャ!

また一つ、bellaさんの「理想宮」が増えたような。
いつかTVで見た記憶がありますが、こんなところにあったのですね。
何時ものように、ツアーでなくてナビを頼りに山越え野越えて訪ね当てるのは至福の喜びに違いありません。
またしても、狂気と芸術の狭間の造形。
いや、ガウディとは、仰るようにその距離感がたぶん両極にあるのは間違いないかもしれませんが。
「恋に落ちた」人に共感されたのは、狂気と哲学と芸術であったのでしょうか。

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