「 セビリア・アルカサル 」は 洗練されたイスラム様式の白い宮殿
南スペイン、 アンダルシア州都 セビリア Sevilla の中で 最も印象深かったのが
「 アルカサル宮殿 Reales Alcazares 」
01. レコンキスタの後 イスラム時代の城の跡地に、 1350年 キリスト教徒のペドロ一世が城を建て
その後 歴代の王が それぞれの時代の建築様式を加えながら 今日の姿に至ったのが 「 アルカサル宮殿 」
02. ペドロ一世は わざわざグラナダから建築家を呼び寄せ、 イスラム建築の特徴を色濃く残す
” ムハデル様式 ” の宮殿を造らせたと言うことですが、
03. イスラム勢力を せっかく追い払ったのに、 高い水準を誇ったイスラム文化の魅力に嵌り
それに固執した 支配者の気持ちは わからないでもありません
長く英国の支配を受けた香港が 返還されたからと言って 翌日から
全てを中国風にやり直せる訳ではないのと 似ているかもしれません ・・
04. 「 大使の間 Salon de Embajadores 」
漆喰細工を駆使した 白いアラベスク模様 ( スタッコ装飾 )が 意外なほど洗練されていて美しい !
05. 日本の文化は ” 余白の美 ” であり、 ありとあらゆる場所を 模様で埋め尽くすイスラム文化は
一見 対極にあると言えそうですが、 白を基調としたアルカサルの文様は レースにも似て 意外なほどエレガント、
ヒマラヤ杉を用いた 木彫の円天井 (クーポール Cupula )も 仏教文化を彷彿とさせました
06. 「 乙女の中庭 Patio de das Doncellas 」 2階部分は 16Cに付け加えられたものだが
均整の取れた構成となっている。 パラダイスを意味するこの中庭に植えられているのは 常緑のオレンジ
07. ところで、この中庭を見たら グラナダの 「 アルハンブラ宮殿 」の中庭を 思い出すに違いない
それもそのはず、 この宮殿自体 ぺデロ一世が 意識的にアルハンブラを模して造らせたものなのだ ・・
シエラネバダ山脈を背後に 小高い丘の上に建てられた アルハンブラ宮殿は 文字通り 赤褐色の ” 赤い山城 ”
であるのに対し、 数十年遅く 街中の平地に作られた このアルカサルは ” 白い街城 ” と言えるでしょう
08. ところで 暑く乾燥した南スペインの 当時の支配者にとって、 ” 水と緑 ” の維持管理は
この上なく重要な課題であり、 かつ 権力者として 最高の腕の見せ所だったかも知れません
09. アルカサル宮殿内には 数々のパティオ( 中庭 )や 噴水が作られていますが
水と緑を配置した 見事な「 大庭園 Jardines 」も 見逃せません
多湿な日本の夏と違い、 フライパンで乾煎りされるようなスペインの暑さは たとえ40度でも 日蔭に逃げれば
なんとか凌げるもので、 こんな緑のカーテンも きっと 随分 役に立ったことでしょう ・・
10. 「 ライオンの噴水 」
11. 温暖な地元の植物と エキゾチックな他国の木々とが入り混じる 豪華な庭園には
築山、迷路、並木道 多くの噴水が配されている
時代時代の支配者たちの優雅な日々に 思いを馳せつつ 私は 静かな一時を過ごしましたが
この壁の向こうには セビリアという 世界に冠たる観光地の喧騒が 渦巻いているのです ~
12. 町の中心 「 大聖堂 Catedral 」に入るには やっぱりこんな行列が必要です !
因みに この白い宮殿の美しさを さらに一層 際立たせていたのが スペイン独特の 「 モザイクタイル 」、
カラフルで 洒落た図柄のタイルと 白い宮殿のコントラストが 時を超えた魅力の秘密に違いありません !
前回の 「 アルカサル宮殿 」のタイルについての記事も 併せて見ていただければ幸いです ~