「ニュルンベルク」ナチが裁かれた町、おもちゃと木像彫刻、そしてソーセージ
ニュルンベルクは 重要な交易路が交差する町で、15世紀から16世紀にかけて 繁栄の頂点にありました
ちょうど 芸術や科学 そして職人仕事の粋を 見せつける ’ショウウインドウ ’のような町でした
01. ニュルンベルクは 第二次大戦までは ドイツで最も美しい街の一つでしたが
戦争で 変わり果てた姿となってからも、 街のど真ん中を流れる このペグニッツ川 Pegnitz だけは
川面に緑の影を宿しつつ 美しい中世の面影を留めて来ました~
( ペグニッツ川を ”またいでいるのが ” 旧市街をぐるりと取り囲む城壁 の一部 )
02. しかしながら、その気高い美しさ故に、 ニュルンベルクは ヒットラーによって
ゲルマン民族の権威を示す 典型的な舞台装置として、 ナチス党 年一回の全国大会のデモ行進を行う
恰好の場として 選ばれてしまったのです
( 写真からは ナチ全盛時代の 華々しい様子が うかがえます )
03. ドイツ民族が世界で最も優れた民族だとする 「 ドイツ至上主義 」を唱えたヒットラーは
この街を 自らが作り上げようとしていた第三帝国の ”イデオロギー上の首都 ”となし、
ユダヤ人迫害の大義となった 「 反ユダヤ主義の綱領 」を、 1935年 ここで制定・公布した
歴史上のそんな喧騒をよそに 今日も 静まり返る ペグニッツ川
木製の ヘンカーシュテーク橋 Henkerstegは ロマンチックで デートコースにピッタリですね!
04. 戦後、1945年11月 戦勝国による 「 ニュルンベルク裁判 」が始まり
その国際軍事法廷で ナチスの24人の最高幹部と 秘密警察とナチの親衛隊など 8つの組織が
’戦争犯罪と平和と人道への罪 ’で告発され 裁かれました
ヒットラーが華々しい宣伝活動を行ったこの街で ナチが裁かれたのは 皮肉でもあり 又当然でもあったでしょう
05. 大戦中、この街の九割が破壊されましたが 時を経て それぞれが忠実に復元されています
13~15世紀にかけて造られた「 聖ローレンツ教会 St.Lorenz Kirche 」もその一つ
06. 聖ローレンツ教会の 内陣の天井から下がっている 「 受胎告知のレリーフ(天使の挨拶) 」は
彫刻家 ファイト・シュトスの傑作として 有名です
07. ニュルンベルクの「 ゲルマン国立博物館 Germanisches Nationalmuseum 」 は
ドイツでも最大の展示面積と 多岐にわたる展示内容を誇っており、 実際 何を見たらよいか迷いますが
せっかくドイツに行ったなら、 このような「 木像彫刻 」を見逃すわけに行かないでしょう
日本では 木の仏像は 別に珍しくもないが、 石の文化の西洋で 木彫にお目にかかると
意外と 不思議な魅力を感じるものです・・・
08. この博物館の、 聖母や天使、使徒や聖人などの彫像は かなり技巧的なのですが
同時に写実的で妙に人間的・・ 人物の内面や精神性をも 見事に表現している・・
ドイツでは 「 木像彫刻 」を見る(追いかける?)旅が成り立つほど あちこちに傑作が多いのです
09. 玩具産業が有名だった ニュルンベルクには 「 おもちゃ博物館 Spielzeugmseum 」もある
3階建てだったでしょうか~ 所狭しと 様々なおもちゃが並んでいましたが
正直言って、 ” 西洋アンティークのドールハウス ”などは 別として
おもちゃ全般は 日本も全然負けていないなあと、感じたものでした ・・
10. 「 中央広場 Hauptmarkt 」 まさに ここがニュルンベルクの中心地
正面の 「 フラウエン教会 Frauenkirche 」では 正午になると 仕掛け時計が 動き出し、
皇帝と7人の選帝侯の人形が登場する
ドイツの諸都市での こうした仕掛け時計こそ 根本は ’玩具産業の技の結晶 ’なのかもしれません
11. 広場には 「 美しの泉 Schner Brunnen 」という ゴシック様式の泉水がある
金ピカの 40人もの人物像で飾られており ニュルンベルクの 最も人気のある観光目玉のひとつです
鉄柵に付いている 金のリングを3周回すうちに 願い事をせよ、 と言われています・・
12. さて、ニュルンベルクのソーセージは ドイツで一番美味しいといわれるが
炭火で焼かれた 5cmくらいの 香辛料の利いた小型ソーセージが テーブルにやって来た
付け合わせは ザワークラウト, ポテト団子と肉団子, ホワイトアスパラスープなど
典型的なドイツ料理ばかり ・・ ボーイさんは 4か国語を話します
何でも イタリア語は ローマに住んでいたから、 フランス語は 彼女がフランス人だったから
話せるんですって・・ じゃあ 次の彼女は 日本人にしないと・・・!
余談ですが、 今日 日本人は ドイツのソーセージだって イタリアの生ハムだって フランスのお菓子だって
イタリアのピッツァだって 現地で修行して あっという間に 本場の技術と味を習得してしまう
だから 最近は 日本で食べるものと 現地のものは 驚くほど違っている訳ではない・・
しかしながら、スペインの生ハムと フランスのバゲットだけは まだまだ 修行の余地がありそう~
もしかして ” 空気そのもの ”が 美味しさの原因だとしたら どうしようもないですけど・・・ !
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コメント
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こんばんは (◎´∀`)ノ
ニュルンベルク、華やかな歴史の後は厳しい現実の歴史も持ち合わせた街だったのですね。
ヴュルツブルクからそれほど遠くはないので、「行ってみればよかったなぁ」と今さら思います。
言われてみれば確かにヨーロッパは木彫りよりも石の文化のイメージです。
しかしこんなに繊細な木像彫刻が、しかもあちこちにあるとは?!意外な感じです。
『おもちゃ博物館』って、ローテンブルクにもあったような・・・?!入りませんでしたが (^_^;;ヘヘッ!
それにしても、あのような仕掛け時計、ドイツの街には欠かせないものなのかもしれないですね。
どの街にもあるような気がしてきました。
で、最後は・・・、確かに典型的なドイツ料理が並んでまーす (^_^)!
美味しそう・・・(・_・)イイナァ!
アイスバインは食べられたこと、ありますか?
投稿: 慕辺未行 | 2013年4月10日 (水) 00時09分
中世の宝石のように美しい芸術と職人の業の街ニュルンベルグ。
目だったが故の数奇な運命も、何か人のそれを予感されるような気もしますね。
美術や音楽にも数多くの影響を与え続けてきたこの街が、
みごとに甦って現代のわれわれをも楽しませてくれていることに感謝です。
投稿: kurakame | 2013年4月10日 (水) 13時51分
詳細なニュルンベルクのご紹介で色々と知る事が出来て感謝しています。
ペグニッツ川そして中世の面影を留めた街並みは何とも美しいです。
しかもこの街の九割が破壊され、忠実に復元されたと聞くとびっくりです。ドイツでは結構そのような都市があるようですね。
一方戦時中はナチス党に利用され、戦後は戦勝国によるニュルンベルク裁判が開かれたとは、この美しい都市にも暗い歴史があるのですね。
bellaさんが魅力を感じた木彫、小生この頃見た木彫が円空の像だけに、ドイツの木彫の差に驚かされ、ちょっと木でないのではと思うほどです。
おもちゃ博物館にまで入られたとは、bellaさんの探究心に敬服します。
教会の仕掛け時計は本当に珍しく、やはり玩具産業の盛んな都市の教会だけありますね。
フランスに長くおられたbellaさんはフランスバゲットの味をよくご存知でしょうが、小生には味の区別はつかないでしょう。
投稿: ktemple | 2013年4月10日 (水) 19時39分
街の九割が破壊さえながらも、それが復元されているのはすばらしいですね。
現在でも中世の面影を見る事が出来るようです。
復興というと全て造り変えてしまうのとは、たいへんな違いがありますね。
これが典型的なドイツ料理ですか、本場で食べるのは、また違った感じでしょうか、
投稿: たかchan | 2013年4月10日 (水) 20時56分
Google地図検索でニュルンベルグを調べましたがドイツは広い国ですね。
これまでbellaさんが紹介して下さった町や風景で、此処は華やかさを感じません。
ナチス、ヒットラーの悪霊が残っているのでしょうか?
私だけかも知れませんが、こんな暗い場所も有るのですね。
投稿: Golfun | 2013年4月11日 (木) 14時24分