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2013年4月21日 (日)

ローテンブルク 「市長の一気飲み」と「極貧が残した中世の美」

ローテンブルク (ローテンブルク・オプ・デア・タウバー Rothenburg ob der Tauber)は 

南ドイツを  南北に走る「 ロマンチック街道 」と 東西に走る「 古城街道 」の 交わるあたりに位置し 

曲がりくねるタウバー川 Tauberのほとり、 城壁にぐるりと取り囲まれている

 

                          

01.   ローテンブルクは 17世紀の 三十年戦争までは 自由都市として それなりに栄えていました
 


しかし、ルターの宗教改革によって 新教派と旧教派の対立が生じると、
 

それを契機に ハプスブルク家が掌握する各国にも 内紛が起き、 それぞれの事情や利害に左右された  

まるで 宗教的根拠からはかけ離れた戦いが  ヨーロッパ中に繰り広げられて行ったのです



とりわけ 戦の中心地だったドイツは 都市も農村も荒廃し 経済も大きく疲弊しました

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02.  たまたま プロテスタント側に付いたローテンブルクの 三十年戦争に費やした代償は余りに大きく

戦争後 数百年もの間 貧しいまま 再び立ち直ることができずにおりました



その貧しさ故、 町を 新しく城壁の外に拡大することも、 時代の流行にマッチした新しいタイプの家に

建て替えることもできず、 中世の姿のまま 時代から取り残されてしまったのですが、、、

しかし、なんとその極貧のお陰で こうして今日こんなメルヘンチックな町が そっくり残ったのです!

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( ヘルンガッセ Herrngasse     町の要人たちの 旧屋敷が建ち並んでいます )









03.    ”毎日がクリスマス ”という 専門店「 ケーテ・ヴォールファールト 」の前には

年がら年中 クリスマスプレゼントを屋根に載せた車が止まっている ( 写真右下 )

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04.   「 市長の一気飲み マイスタートルンク Mistertrunk 」



1631年 三十年戦争のさ中、 ローテンブルクを陥落させ、意気上がる 皇帝軍の将軍ティリーは 

勝利の証しとして 町を破壊し、議員全員の首も刎ねようとした!  しかし、なんとか急場を凌ごうと 

ローテンブルクの市長が 土地最高のワインを差し出すと、  そのあまりの美味しさに 将軍の心が和み、

寛容さが彼の胸を満たした・・・! ( アルコールの力は偉大です!! )

                      



将軍は 大ジョッキー(3リットル4分の1)のワインを 一気に飲み干すものあれば 

この町を助けようではないか と提案した・・・  すると  市長ヌッシュが 見事にこの大技に成功し    

町は救われた!!  町を救った老市長は その後三日間眠り続けたものの 八十歳まで長生きしたそうです

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( マルクト広場にある 市議宴会館の壁の仕掛け時計、 時間になると 窓が開き

左に将軍ティリー、右に老市長ヌッシュが現れ ワインを飲み干す場面が再現される 写真右下 

その時の ワインジョッキーの実物は 博物館で見られます  )









05.   毎年5月 ローテンブルクでは その「 マイスタートルンク 」を再現する祭りが行われる

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06.   皇帝軍と 地元軍の行進が行われ、 広場では さまざまな余興に花が咲く・・

「 マイスタートルンクの再現劇 」は 市役所の中で行われ、それを見るには 前売り券を買う必要があります~

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07.     ところで、 17世紀と18世紀は 極貧の中で細々と暮らしていたローテンブルクですが 

19世紀になると この町の ”古臭い”特異な美しさが 逆に目立つようになり、 保存措置が取られ

この頃から この町を観光目的で訪れるという動きが ボチボチ始まったという

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08.    子供たちは 祭りへ参加して ただウキウキすればいい、と言うものでもないようだ

光が眩しく、 時々 髪が引きつれる・・ 

おめかしは 子供たちには我慢の時、  髪を結う母親たちにも 勝負の時! 

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09.    さて、これが 木彫像の傑作を数々生み出したドイツで 最も有名な 

「 リーメンシュナイダー Riemenschneider 」の作品 

聖ヤーコプス教会 St Jakob にある 「 聖血の祭壇 Heilig-Blut-Altar 」


ユダが背中を見せ キリストと対峙している独特な構図・・  余計なものをそぎ落としていく日本の木像に対し

木で ここまで表現出来るのかというような 迫真の人物表現です


因みに 写真右上、小さな二人の天使が支える柱の丸ガラスの中に キリストの血の滴が保存されているらしい

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10.   13世紀から14世紀にかけて築かれた 城壁 Stadtmauer 

塔屋を含め 完全に保存されているので 歩いて町をほぼ一周出来る

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11.   ローテンブルクは 地図で見ると 可愛い”ワイングラスの形 ”をしている



表通りは 綺麗な街並みだが 裏側では 家庭菜園などが作られていて 

有名な観光地でも ちゃんと普通の暮らしをしているのだなあ、と ホッとする

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12.       因みに 上の「 聖ヤーコプス教会の 西祭壇 」は 「 聖血 」を安置するために

わざわざ作られたものだが、 こうした聖人にまつわる「 聖遺物 」は 古来 多くの教会が

やっきになって収集したものでした


                            


とりわけ キリスト自身に関するものが 最高クラスとされ、  キリストが磔にされた十字架の一片

キリストがかぶせられた茨の冠、 手足に打つ付けられた釘、 わき腹を槍で突かれた時流れ出た血 などが

最高に尊いものとされる

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しかし 本当に そんなホンモノが この世にあるのだろうか ・・    こうしたものの真贋は 

なかなか決着が付け難いし  中には 科学的検証で 偽物とされたものもある


そんなこんなで カトリック教会も 現在では 聖遺物などには頼らず、”純粋な信仰 ”を奨励している

「聖書」だけを 信仰の拠り所とした プロテスタントの境地に 少し近づいたと言えるかも知れない


                               


しかし いろいろな聖遺物やら 聖人の骸骨やら キリストの顔が浮き出た布とか マリア像から流れる涙とか

そうしたものを 信仰の拠り所とする人々の心は 人間的でいとおしく、

人間が人間である限り  そうした傾向は 絶対無くならないかも知れませんね ・・・・

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コメント

いまでこそ、観光地として名前が知られていますが、
こんなにメルヘンチックな街並みが、実は極貧がゆえに
建て替える事ができない事による産物とは初めて聞きました。 
祭りは、日本でいう時代絵巻のようですね。
緑に包まれる古き街並みが、この先もずっと残ることを
祈るばかりです。

こんばんは (◎´∀`)ノ
ローテンブルクは2度訪れていますが、「懐かしい」と同時に「まさかそのような理由で・・・」残された街だとは、ビックリしました。
最初の写真、駅のほうから行って城壁の門をくぐりまっすぐ行くと、ここなのですよね。そのまま行けば、からくり時計があるマリエン広場。
いやはやどの写真の風景すべて、懐かしいです。アッ、お祭りのときに訪れたことはありませんよ。
そうそう『中世犯罪博物館』は訪れましたか?
bellaさんはモーゼルの Zell の街も訪れていますし、海外で同じ街を歩いたことがあると、とても嬉しくなります。

お早うございます。
ドイツは出張の合間を利用してライン川船旅とハイデルベルグを少し
見物しただけで十分見物が出来ていません。
木骨組の特徴有る建物には興味があります。
それぞれの住宅でしょうか?
ロマンチック街道の旅、古城街道訪問を出来ずに終わりました。
bellaさんの旅行記を楽しみにしています。

3リットルの一気飲み、一瞬ビールかと思ったらワイン、さぞかし素晴らしい出来のワインだったのでしょうね。
ロマンティック街道のロマンティックな中世の街も、複雑な事情のゆえに保存されてきたのですね。
多かれ少なかれ、残された文化遺産にはそれぞれの歴史が秘められているであろうことに、
改めて思いを馳せることができました。

中世の姿のままに残されたローテンブルクのメルヘンチックな町の姿は何とも素敵ですね。残念ながらこの街を訪れる機会がありませんでした。
マイスタートルンクのお話、そしてそれを再現する祭りが今も行われているのも素敵な事ですね。
リーメンシュナイダーのキリストやユダがいる木像群は、本当に迫真の人物表現がされており素晴らしい作品です。 
数百年も前に築かれた城壁や塔屋が残っており、そこを歩いて町をほぼ一周出来るとはこれも素敵ですね。
そして最後の信仰についての事も興味深く読ませて頂きました。

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