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2012年7月19日 (木)

ユトリロの傑作は アルコールの賜物

 

                                                   

「 モンマルトル 」と言えば 「 ユトリロ 」ですね

日本人は 「 フェルメール 」が大好きですが、

フェルメールブームが起きる ずっと前から 

ユトリロは ” 元祖 ・ 日本人好み ”の 画家だったかもしれません 



                                                     

01. モーリス・ユトリロ Maurice Utrilloは 始めから 画家だった訳ではなく

人生に頓挫した ただの アルコール中毒患者でした

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02. 入退院を繰り返す モーリスに手を焼いた 母親のシュザンヌ・ヴァラドンが

アルコールから気を逸らせてくれればと ただそれだけで 絵筆を与えてみたのです・・・

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03. 水彩で ’ ジャガイモ ’を 描くところから始めた モーリス、 


下手に 専門教育を受けていない 飄々とした彼の作品に 徐々に買い手が付き始めました

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( ’雪のサンピエール教会 ’  この作品は 後半の円熟期のものです、、

 夏は、 緑に生い茂る 教会前の樹木 )








04. 母親は 息子を画家にする気は毛頭なかったので、 絵の描き方を手ほどきすることもなく、 

結果的に 息子モーリスと 母親シュザンヌの画風は 似通うことなく、

それぞれ 全く 個性の違う傑作を 後世に残すこととなりました

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( ユトリロが 絵を描いた サン・リュスティック通りと リュー・デ・ソール通りの 交わるところ )







05.  因みに 母親シュザンヌ・ヴァラドンの 

” 線の強い 個性的な絵 ”と ” 美しくも逞しい 彼女の面構え ” は

私の「 サティの失恋 オンフルール 」編 (2011年9月28日)に出ていますので

ここでは 重複を避けますね・・ 

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( サン・リュスティック通り )







06. 不思議なことに、 道行く人々が ユトリロの絵の登場人物に見えて来ます~!

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ところで ユトリロには ”白の時代”という呼び名があるほど、白い絵が多い・・

これは 世間に白い絵の受けがよく、つまり ” よく売れたので ”、 

プロデューサーとして シュザンヌが そうした方向性を 指示したのが始まりらしい

(数百点に及ぶ 白の時代の作品には、 当然

ユトリロ自身が 切磋琢磨して勝ち得た画風の変遷が みられますが・・)

                      




07. 当時 シュザンヌは 13年来、資産家のポール・ムジスと結婚していたので、 

金銭的には 既に 安定した生活を手に入れていました  が、その後、 息子の友人で、

しかも息子より3歳若い、アンドレ・ユッテルと 恋に落ち、 ムジスとは離婚する ・・

結局 この恋人ユッテルが 今や人気作家となった ユトリロの作品や 

お金の出入りを管理する マネージャーとなったのです 
  


3人で避暑旅行をするなど まあ、普通では考えられない 飛んだ!?人間関係でした~

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( テルトル広場、 ユトリロの時代には こんなに閑散としていたのですね! 

右上に 屋根の形が同じ建物が 見られます )

                     




08. 1909年、44歳のシュザンヌが 21歳年下のユッテル、 そして

息子モーリスと生活を始めた場所

ユトリロは 相変わらず、 アル中で 精神病院に拘束されたり、 

酩酊状態で 車の前に飛び出して困らせるなど、警察沙汰も絶えなかったものの、 

母子共々 素晴らしい作品を生み出す 実り多い住まいとなりました


現在は 「 モンマルトル美術館 Musee de Montmartre 」になっています

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( 写真上 右側の建物が美術館   門を入ると 中庭があります )




09. プチトランで、 モンマルトルの丘を降りる

因みに この観光プチトラン、 特にフランス的、ということではありません

ヨーロッパ各国の観光地で ここ十数年 一斉に普及し出したので、 

EUのどこかの国が 一手に製造しているのではないかと 想像していますが・・・

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10. ユトリロ 「 モンスニ通り 」

「 白の時代 」から 黒い輪郭線で絵画空間を構成する「 色彩の時代 」へ 移る

10monceni1917_2







11. さて ここは 再び モンマルトルの丘  「 旧町役場前 」


現在は 「 A St Pierre de Montmartre 」という名のお土産屋さんですが 

この建物を パリの街角の作品で有名な「 荻須高徳 」が描いています

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12. ユトリロが もし 芸術の高等教育を受けて、 正確な遠近法で

カッチリした街角を描いたなら これほどの名声は残さなかったでしょう

同じく 高須さんの街角の絵も かなりバランスを崩している (この絵はまだいい方です)

文化勲章まで受けた 高須さんですから 恐らく 意識的に 

完璧なデッサンをはずしているのではないかと 想像しています ・・・

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何によらず、  人を感動させるものが 

いつも 美しく・完璧で・立派なものとは限らないのが 面白いところ ・・・

そして ’脱力系の ?!’雰囲気を醸し出す ユトリロの傑作が 

元をただせば アルコールの産物だったことも 興味深いところ ・・・

                         

ユトリロは 描きながら 絵筆を ぶどう酒のコップに 漬けたこともあったそうですから

もしかして 彼の絵から ワインの香りがするカモ ・・・ !

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コメント

ユトリロの作品は、中学生の頃の美術の教科書に載っていたように記憶しています。
確か遠近法の説明のようなものがあったのか、どうか?  とにかく白い街の絵でした。
自由奔放にアルコールを片手に描いていたんでしょうかね。   ただ、この手の人達は
たぶん集中力がすばらしくて、描くときは全力投球なのでしょう。 
睡眠時間や明日の仕事の事など気にして、もう、今日はここまでにしよう、明日、続きを
描けばいいや、というような安易な気持ちで描いている私とは、たいへん大きな違いが
あるのでしょう。  荻須高徳の画文集が抽選で当たり、持っていますが、ずっと本棚に
入ったまま、まだ読んでいません。   絵画展が終了して時間ができたので、この本を
読んでパリを想像してみます。  それにしても、一度は訪れたいモンマルトル。

ゲイジュツは狂気の産物だ!、誰かが云ったかどうか。(笑)
ユトリロさんに限らず、アルコールの後押しで傑作をものした人は多かったでしょうね。
遠近法なんて習わなくても、画家の目に捉えられて脳神経で洗浄された画像がキャンバスに吐き出されればいい。
ピカソさんやオギスさんを持ち出すまでもなく、デッサンの素養が十二分にあっても、
イメージのデフォルメは自由自在(!)。
あれっ、すこしでも狂気に近づけたかな。(笑×2)

bellaさん、こんばんは。
ユトリロの絵と現在のモンマルトルの街並みを重ね合わせながら、
街歩きを楽しむように、興味深く記事を読ませていただきました。
bellaさんの解説は、いつもとてもわかりやすくて、素晴らしいですね!
写真からも、街の様子が生き生きと伝わってくるようです。
パリに住んだことがありながら、実は私、モンマルトルの丘まで
上ったことがことがないんですよ。アベス界隈は、「洗濯船」辺りなど
何度か散策したことがあるのですが、ケーブルカーに乗って、
そこから先へ・・・までが、なかなか足が向きませんでした。
今回の記事で、モンマルトルのあちらこちらを堪能させていただきました。

ユトリロの繪とbellaさんの写真は同じ感じがしています。
精密に忠実に描いていますね。
狭い道、坂道の多いのはリスボンを思い出しました。
ユーロの危機フランスはどうなるのでしょうね。

ユトリロと母シュザンヌの物語り興味深く拝見しました。
何とも言えぬ詩情と静謐さに満ちているありふれた街の風景、そして特に壁などの白が印象的なユトリロの絵は小生の大好きな絵の一つです。
ご説明の様にそれがアルコールの産物だったこと等は見ている時は全く思いもよらない素敵な絵です。
そして「正確な遠近法でカッチリした街角を描いたなら これほどの名声は残さなかったでしょう」という説明には、今迄全く気がつかずにいたことで、やはり大好きな画家荻須高徳の絵にも、そおいう一面があってより素晴らしかったのかと、教えて頂いて初めて気がついた次第です。
 

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