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2012年6月21日 (木)

太っ腹の「ルーブル美術館」 実は ”難解の館”

                                                   

01. なんだか すごい人出 !  ここはどこ ?   

ツアーコンダクターの旗も 見えます~

そう、 ここが かの有名な 「 モナリザ La Joconde 」 の展示コーナー

とても ”絵画鑑賞”っていう雰囲気ではありません

01





02. そのたった1枚でも もし日本にやって来たら 行列ができる絵が

あたかも平凡な絵であるかのように 次から次へ現れる ・・・


そう これが かの 「 ルーブル美術館 Musee du Louvre 」

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03. お気付きのように ルーブルでは 太っ腹にも 「 カメラOK 」


   
もともと 
作品は 全てデジタルファイル化されているし 古い作品は著作権も切れている

撮られても減るもんではないし、最近のルーブルは鷹揚だ

しかし 本当のところは、 ルーブルの展示スペースが あまりに広大で

デジカメで 勝手にパチパチ撮りまくる観光客の全てを 見張りきれないから、

というのも 理由の一つではないかと想像しますが ~~




                   




もう一つの 太っ腹ルーブルの証は 「 模写OK 」

絵を愛する全ての人に 勉強する機会を与えようという大らかさは さすが芸術大国

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04. しかるべき所からの推薦状や、 犯罪歴がない旨の証明書などを添えての
 

やや煩雑な申請手続きがあるものの、
 


一旦 許可が下りれば

3か月間 土日を除く毎日 無料でルーブルに通え、イーゼルや椅子の貸し出しも受けられる

名画のそばで 絵筆を振るうのだから おのずと 様々なマナーが要求されるが

要するに
” 人を大人扱いするフランス ”に対し 描く方にも ” 大人の自己責任が生ずる ”という訳



                   




ところで、写真をよく見ると、「本物」と「模写」は 作品の大きさが違いますね

「模写」は 20%ほど大きくするか 小さくしなければならない

人前で描こうというくらいですから やはり どの模写もかなりの出来栄えです

後に 本物として 世に出回らせないためでしょう

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05. フランスでよく見かける 「 校外グループ学習 」

ジェリコの「 メディウス号の筏 」も  ドラクロアの「 アルジェの女たち 」も

実は 学生たちが邪魔で 非常に見づらかった~ 



しかし、日本でも 子供が邪魔で仕方なかった、と言えるくらい

美術館での学習が 普通になってもらいたいもの!

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06. さてこれが ルーブルの「 ピラミッド 」

現代アメリカを代表する 中国系アメリカ人建築家 イオ・ミン・ペイの作品

古い建物に 新たな息吹を与える 素晴らしい造形美です!

06_2






07. ミッテラン大統領時代の 「 大ルーブル計画 Le Grand Projet 」で、
1989年に完成

ピラミッドの真下は 押し寄せる観光客の動線の中心、中央ロビーとなっている



ルーブル改造に 中国人に 白羽の矢を立てたのも すごいことだが、 

近くオープンする 北仏の「 ルーヴル・ランス別館 (Le Louvre Lens) 」の設計も

日本人建築家 妹島 和世さんと 西沢立衛さんが 手掛けている  

” 良いもの ”であれば 国籍を問わない 「 ルーブルの太っ腹 」も 見事です!

( 因みに、 近く アラブ首長国連邦にオープンする 

ルーブル ・ ダブ ・ ダビ ( Louvre d’Abu Dhabi )には さすがに

フランスの魂を外国に売り渡すな!と 抗議の声が上がっているらしい )

07_2

                                        ( 逆さピラミッドもある )




08. 一見 保守的で 閉鎖的に 感じるフランスですが 実は 常に 新しもの好き? 

08_2

( 手前は カルーゼル凱旋門 )






09. ふと 思ったのですが


 
モンマルトルにやって来た ゴッホやピカソ、フジタを 見てごらん、
 

今日の サッカー選手やスーパーモデル、シャンソン歌手を 見てごらん
 

ムーランルージュの踊り子たち、 現代アートの作家たち ・・・


元を辿れば フランス文化の担い手に いつも 多くの外国人がいるのです 

「 フランス文化は 実は 昔から太っ腹 」 

09_2

( ルーブルから見える モンマルトル、サクレクール寺院 )







10. パリ市の西側に広がる 新都心 ” ラ・デファンス La Defence ”

「 ラ・デファンス 」の 新凱旋門(画面中央)と 凱旋門、 カルーゼル凱旋門(写真08)は

一直線上に配置されており、パリの中心軸を成している

旧市街と新都心をつなぐ 「 新凱旋門 」、心憎いばかりの演出では ありませんか~!

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11. せっかくですので、 何万点というルーブルの作品から 1点を選んでみました

「 横たわる死せるキリスト 」  シャンペーニュ F.de Champaigne

壮絶な死を遂げたイエスの 崇高な美しさが 満ち溢れています (上)


「 死せるキリスト 」  マンテーニャ Mantegna (下) は

イタリア、ミラノの ブレア美術館蔵ですが 

頭から足の先までを ”短縮法”という技法で描いた珍しいキリスト像


構図的に対照的な二つの絵、 フランスとイタリアで出会った 「 私の一枚 」です

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12. さて、 シャンペーニュのこの絵、 

絵の左側から見た場合と 右側から見た場合では これ程の違いがありますよ~

絵画の見方の 一つの参考例になるでしょうか・・

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ここからは 蛇足になりますが 

キリストの槍の刺し傷が右胸にありますね  心臓は左側にあるはずですが・・・

                          



当時  十字架での死は あらゆる死の中でも 最も みじめなものでした

生きたままの人間の手足を 釘で十字架に打ち付け 晒し者にして 

出来るだけ 長く苦しませるという 最も残酷な処刑の方法でしたから



手足には 体重がかかり ビリビリと肉が裂けていく ・・・ 

激痛と出血と 喉の渇きに 罪人は苛まされる ・・・

体力がある者ほど 絶命まで時間がかかるという



                                     





イエスは 木曜の夜 いわゆる「最後の晩餐」のあと 捉えられ、

徹夜の尋問の末、  翌朝 金曜には裁判にかけられ 

その日のうちに  あれよあれよと言う間に 処刑場へと送り出される




茨の冠をかぶせられたイエスは 自分が はりつけになる重い十字架を担がされ 

鞭打たれながら 何度となく倒れつつ ゴルゴダの丘に辿り着く 




既に 体力は相当失われていたであろうが
 

十字架上で イエスは さらに壮絶な死の苦しみを味わう

絶命まで半日かかったと言われる


                        





刑の執行人が さすがに憐れと思ったのか、イエスの右脇を槍で突いて出血を促し、

早く死ねるようにしてやった、という説と

「ヨハネによる福音書」にあるように、

イエスがちゃんと絶命したかどうか 槍で突いて確認した、という説がある




いずれにせよ 傷跡が 右脇にあるのは こうした理由からなのです

                         



印象派中心の 人気の 「 オルセー美術館 」の 絵が
 

ある程度「 感性 」で感じ取ることが出来るのに対し、



「 ルーブル美術館 」の 絵の大部分は 

西洋の 歴史や宗教・神話などの「 知識 」をもって 読み解かねばならない



いわば 「 教養 」がないと 真の感動に至れないという訳・・・


「太っ腹のルーブル」とは言え、

日本人にとっては 本当は ” 難解の館 ” だったのです!!



                        




パリ散策つづきます

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コメント

その昔、「モナリザ」がやってきたときの、東博の会場もこのような混雑でした。
どのように鑑賞できたのか、記憶は曖昧なままです。
このルーブルで、どれほどの画家たちが模写で研鑽し、大成してきたことかと改めて思われますが、
観客の中で、名画を前での模写、勉強とはいえこれは相当に腕に自信がないととても大変でしょうね。
Mantegnaの絵もパースペクティブを付けて撮れば・・。(笑)

こんにちは!芸術に国境なしを地で行くフランスですね。
名画の撮影フラッシュOKは驚きです。考えて見れば今のフラッシュはMgを焚くわけでなし、光や熱による劣化も少ないのでしょう。日本も考え直して欲しいですね。
模写を公認、でも描写に自信がないと見物人の前ではキャンバスは広げられません。bellaさんは模写されなかったのですか?

モナリザの展示コーナーの混雑振りには驚きです。小生結構ゆっくりとビデオ撮りが出来ました。
Bellaさんのルーブルでの私の一枚が横たわる死せるキリストとは。小生この絵を始めて知ったという情けない状態です。
「教養がないとルーブルの絵の大部分は、真の感動に至れない」と言われると、西洋の歴史や宗教・神話などの知識もろくに持ち合わせズにルーブルの絵を見た小生には、真の感動は得られなかったのだと反省しています。暇になった今、bellaさんご指摘のことの必要性を感じて、少しずつ知識を蓄えようと努力していても、もうルーブルに行けないとは残念なことです。

日本の美術館とは本当に違いますね。 絶対、写真撮影は許可されませんし、まして、絵の前で模写する、座り込んで勉強会等 考えられません。  少し神経質過ぎるのではと思うような事さえあります。 芸術に対する見方、風土、歴史、何より宗教に対する考え方の違いなのでしょうか。  たいへん勉強になりました。

今日は~ 観客の多さには驚きますね。
上野で一度だけ長い行列に我慢しました。
ラッシュ・アワーの電車のようですね。
カメラや模写はルーブルだけでしょうか?
日本では皆無ですね。
bellaさんの解説付きでパリとルーブル見物を楽しむことが出来ました。
キリストの処刑は残酷ですね。

bellaさん、
同様に、ある程度の知識がないと貴姉のブログもフォロ-できないということです。

こんばんは (◎´∀`)ノ
モナリザの前、やはりすごい人・人・人・・・。じっくり鑑賞・・・なんてとてもできないですね。
しかし、まさかカメラOKとは (゚o゚)ナニッ?!普通ではあり得ない・・・。
美術館に限らず、博物館の展示物など、たいていのところは”撮影禁止”ですよね。
なのに、あの世界に名だたるルーブル美術館が撮影OKとは?!
でも、TVカメラはダメなのでは?
美術鑑賞は全く「???」の世界の私には、ルーブル美術館に限らずどの美術館もきっと”難解の館”です (^_^;;
それでもルーブル美術館の雰囲気、味わうことが出来ました。ありがとうございました。

おはようございます。
いろいろ勉強させて頂いてます。小生のように教養のないものはルーブルに行ってもダメ???
その前に軍資金がなくて近場ですませています。
館内でデジカメOKは嬉しいですね。いろいろやりたいことがあって、、、そのためルーブルは憧れのままで終わりそうです。

ルーブル美術館は、パリに行きながら、時間不足で見学出来ず、悔しい思いをしてます。

ここで勉強させていただきました。

小説「ダ・ヴィンチ・コード」では「モナ・リザ」の展示室の説明に目を剝いて読みましたが、
ルーブル美術館で これを見るのは大変なことですね!上野の国立博物館で「最後の晩餐を」を
見た時は、暗い照明の下 一列に誘導されてトコロテンのように押し流されたのを思い出します。管内では撮影禁止、でも ルーブルはケチなことは言わないようですね!?

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