ゴーギャン 実在する「黄色いキリスト」(その1)
ゴーギャンが滞在した ポンタヴェンPont-Aven、
その郊外に 「 トレマロ礼拝堂 Chapelle de Tremalo 」 がある。
そこには 「黄色いキリスト」という作品に登場した本物の黄色いキリストの木像があった。
01. ゴーギャンは 1888年に 「説教のあとの幻影」 を 描いている。
画面 右端の司祭から 天使と闘うヤコブの話を 聞きながら、
ブルターニュの素朴な田舎の娘たちが 心にその情景を思い浮かべている場面だ。
構図などは 日本美術の影響を はっきり受けてはいるが、 美術史的には
「黄色いキリスト」 と共に 内面的な思想を 象徴的に表す絵画の始まりとして
重要な作品と言われる。
02. さて、並木を抜けて 「 トレマロ礼拝堂 」 に やって来ると
03. 素朴な石のチャペルが 紫陽花とともに ひっそりと待ち受けておりました。
04. 日本の茶室の ” にじり口 ” ではないが、
小さな入り口、 やや屈むようにして 現世から 堂内に入る仕組みだ。
05. 薄暗い内部は 素朴ながら 美しい設えで、
石造りであっても、 不思議な暖かさを 湛えておりました。
( 数ある欧州の教会で、 信者でもない私が 名状し難い 不思議な霊感に
強く抱きすくめられたのは ポルトガル、マリアの奇跡で有名な 聖地ファティマ と
ここ トレマロの 2か所だけでした~ ~ )
06. 次の作品は 「 キリスト磔刑図 (黄色いキリスト) 」 1889年
ブルターニュの晩秋、 哀愁漂う黄色い丘を背に、
はっきり祈るでもない うつろな目の農婦たちと 祈りもそこそこに 足早に立去る農夫。
中心に 十字架上で 一人 殉教の意味を自問するキリストの メランコリックな姿、
それらを 平面的なタッチで 象徴的に 描いている。
この黄色いキリスト像の元になった実物のキリスト像が この礼拝堂にあるのです!
このあと 次回の 「 黄色いキリスト (その2) 」 に 続きます